大阪王将事件で会社側が誹謗中傷をやめるように呼びかけ
仙台市にある中華料理チェーン店「大阪王将 仙台中田店」で、「ナメクジが発生している」などとSNS上に書き込まれたことについて、大阪王将は7月28日、新たな文書を公式Webサイトで公表し、「個人を特定するような記載、または誹謗中傷につながる記載はお控えいただきますようお願い申し上げます」などと呼び掛けたそうです。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2207/28/news150.html
[ITmedia]2022年07月28日 14時25分 公開
こうした企業の不祥事が発生した場合、ネット上で必要以上に炎上し、本来あるべき批判を超えて、会社や従業員に対する名誉毀損やプライバシー侵害が行われることがあります。
その場合、会社としては自社と従業員を守らなければなりません。
大阪王将も、「尚、現在インターネット上に、大阪王将 仙台中田店の店舗従業員の名前や住所等の個人情報
が掲載され、また誹謗中傷の書き込みもなされております。
個人を特定するような記載、又は誹謗中傷につながる記載はお控えいただきますようお願い申し
上げます。」と記載した文書を公開しました。
https://www.osaka-ohsho.com/news/2022/pdf/0728.pdf
状況が状況だけに、誹謗中傷の書込みをする者に対して、刑事・民事上の措置を取る方針であるとは記載されていませんが、これ以上の誹謗中傷は受け入れられないという姿勢を強く示したものでしょう。
誹謗中傷を受けた場合には削除や発信者の特定が可能
名誉毀損やプライバシーを侵害する書込みについては、削除を求めることができますし、発信者を特定することができますが、裁判手続きによらない請求は限度があります。特に発信者の特定については、匿名の場合、裁判手続きによらなければなりません。
削除請求と発信者情報の開示とは裁判における手続も若干異なります。
特に発信者情報の開示は、SNS事業者や掲示板の管理者は、氏名や住所の情報を持っていないことがほとんどであるため、SNS事業者や掲示板の管理者からIPアドレスの開示を受けた上で、プロバイダや携帯電話事業者に氏名や住所の開示を求めなければなりません。そして、通常、裁判手続きでなければ、情報は開示されません。
2022年10月1日 改正プロバイダー責任制限法の施行
そのため、時間と費用を要したのですが、令和4年10月1日から法律(プロバイダー責任制限法)が変わります。
通常の裁判とは別の新たな手続が創設され、以前より簡易に開示がされるようになります。
不祥事について批判されるのはもっともですが、虚偽の情報を書込みされたり、従業員の個人情報が晒されるような事態は受け入れる必要はありません。
こうした悪質な誹謗中傷に対しては、民事上、削除や発信者を特定した上での損害賠償請求が可能ですし、名誉毀損罪や侮辱罪での刑事告訴も可能です。
発信者を特定するために要した弁護士費用は、名誉毀損等の慰謝料に加えて相手方に請求することができます。
あるべき批判を超えた誹謗中傷については、会社と従業員を守るために毅然とした対応を取るべきです。