インターネット上の掲示板で誹謗中傷された飲食店経営者の事例
- 2015/12/31
- 解決までの具体例
目次
1 依頼者が自分の名誉を毀損する書込みの発見をする
フレンチレストラン、シェ・ヤマダを経営する山田社長は、インターネット上の掲示板爆サイ.comに、「山田社長が経営するシェ・ヤマダのトイレには盗撮カメラが設置されている。」と書き込みがされているのを見つけたのですが、もちろんフレンチレストランのトイレには盗撮カメラなどありません。そこで山田社長は、誰が書込みしたのかを明らかにして損害賠償請求したい欲しいと考え、弁護士Aに依頼しました。
2 弁護士が発信者の特定の手続きを開始
まず、掲示板の管理者に対し、「書き込みは山田社長の名誉を毀損するものであるから、当該投稿のタイムスタンプ(日時)、IPアドレスを開示するよう」に求めたところ、数日後、爆サイの管理者から、タイムスタンプとIPアドレスが開示されました。
IPアドレスが開示されたことにより、投稿者が契約しているプロバイダーがO社であることが判明。そこでプロバイダーO社に対して任意での発信者情報開示請求をしました。プロバイダーO社は、自社の契約者である投稿者に対し、意見照会を行いました。
投稿者は、O社に対し、「発信者情報の開示に同意しない、書込みは真実であるから名誉棄損ではない。」と回答したため、O社は発信者情報の開示を拒否しました。
3 発信者情報開示請求訴訟の提起
プロバイダーO社は当該IPアドレスに関連する契約者の情報を保存することを約束しましたので、山田社長の代理人弁護士Aは、O社を相手に発信者情報開示請求訴訟を提起しました。
プロバイダーO社の代理人弁護士は、「フレンチレストラン、シェ・ヤマダに盗撮カメラが設置された、と聞いたことがあるから真実である。」などと反論をしてきました。
もちろん、山田社長は、「盗撮なんてしたことはありませんし、カメラが設置されている事実もない」などと反論しました。
結局、山田社長の主張が認められ、裁判所は、「書込みが名誉毀損していることは明らかである」として、プロバイダーに対し発信者情報(住所、氏名)を開示するよう判決を言い渡しました。訴訟提起から判決まで3ヶ月程度でした。
判決言渡しから約1ヶ月経過したころ、プロバイダーから発信者の住所と氏名を記載された通知書が届きました。
4 損害賠償請求に進む
開示された住所と氏名は、近所の同業者であるフレンチレストラン、オツノの経営者乙野社長でした。山田社長は非常に驚くと同時に落胆しましたが、乙野社長を許すことはできないと考え200万円の損害賠償請求をすることを決意しまし、まず、弁護士Aに依頼して内容証明郵便で損害賠償請求をしましたが、乙野社長はからは何の連絡もありませんでした。
5 損害賠償請求訴訟の提起
そこで山田社長は、乙野社長を被告として損害賠償請求訴訟を提起しました。裁判の中で乙野社長は、盗撮は真実であるなどと主張しましたが、確たる根拠を示すことはできませんでした。山田社長は勝訴判決を得るまで徹底的に争うことも考えましたが、裁判官が、乙野社長が謝罪すること、損害賠償金50万円を支払うという条件で和解しないかと勧めたこと、今後も近所で経営することも考慮して、和解することにしました。
6 コメント
上記に要した期間は、「爆サイに対するIPアドレスの開示請求〜発信者情報の開示:半年弱」 「名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟の提起〜和解成立:半年程度」のケースです。爆サイは、任意でのIPアドレス等の開示に応じるため、IPアドレス開示仮処分の必要がありません。
photo by Wicker Paradise] photo by Nacho photo by sbamueller photo by Max Braun photo by ijustwanttobeperceivedthewayiam photo by Anne Wor