侮辱罪の法定刑引き上げにより何が変わったのか

目次

侮辱罪の法定刑引き上げにより何が変わったのか

刑法改正の施行時期

令和4年6月13日、刑法が改正され、侮辱罪(刑法231条)の法定刑が引き上げられました。

施行は同年7月7日からですので、7月7日以降の書込みなどの行為が対象になります。

改正の趣旨

誹謗中傷による自死される被害者が出るなど、ネット上の誹謗中傷が拡大・悪質化していることに対し、法定刑を引き上げ、厳正に対処するべきとの法的評価を示し、犯罪を抑止するために改正されたわけです。

改正の具体的内容

侮辱罪の法定刑が「拘留又は科料」から「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げられます。

今までは、拘留又は科料だけだったのが、懲役または禁錮刑と罰金刑が加わったということは非常に大きいです。

侮辱罪の法定刑の引き上げによって、法律上、以下の違いが生じます

 (1) 教唆犯及び幇助犯(※1)について、これまでは、処罰することができませんでしたが(刑法64条)、法定刑の引上げに伴い、その制限がなくなります。

  (2) 公訴時効期間(※2)について、これまでは1年でしたが、法定刑の引上げに伴い、3年となります(刑事訴訟法250条2項6号・7号)。

  (3) 逮捕状による逮捕について、これまでは、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由なく出頭の求めに応じない場合に限り逮捕することができましたが(刑事訴訟法199条1項ただし書)、法定刑の引上げに伴い、その制限がなくなります。

  (4) 現行犯逮捕について、これまでは、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り現行犯逮捕をすることができましたが(刑事訴訟法217条)、法定刑の引上げに伴い、その制限がなくなります。

https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00194.html#Q12

実務上の影響が大きいのは、公訴時効です。

書込みがされたことを知り、相手方を特定して告訴するだけでも、6か月以上かかってしまうことも少なくありません。相手方を特定できても公訴時効が完成したので断念せざるを得ないケースもありました。

また、上記4つには記載されていませんが、法定刑が引き上げられたことにより、警察や検察が侮辱罪の被害届や告訴があった場合の実務上の対応が変わってくるでしょう。

警察の対応の変遷(弁護士としての実感)

2010年頃までは、ネット上の書込みについて、名誉毀損や侮辱罪で警察に相談しても、中々相手にしてもらえませんでした。

徐々に警察も問題意識を持つようになり、2012年頃から徐々に地方の警察署も対応が変わってきたように感じました。

加えて近年の誹謗中傷被害の深刻さを受けて、警察の対応も相当に前向きに変化しています。

今回の法改正により、名誉毀損が成立せず、侮辱罪でしか立件できない案件について、警察が告訴を受理してより積極的に捜査することが期待できます。

告訴のポイント

ただ、警察に被害届や告訴する場合でも、自分で弁護士に依頼して相手方を特定してからの方が、警察は前向きに対応してくれます。

警察署によっては、ネット上の誹謗中傷に詳しくない方が担当となり、捜査が進まない場合がありますが、自力で(弁護士に依頼して)相手方を特定していると、裁判所が発信者情報の開示を命じているという安心もあり、捜査がスムーズに進みます。

担当の刑事がネットに明るくなくとも、相手が特定できていれば、他の事件の捜査と大きく異なることがないからです。

(参考:法務省 侮辱罪の法定刑の引き上げQ&A

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