「忘れられる権利」が初めて裁判所により認められました。

平成28年2月28日付の東京新聞によれば、

インターネット検索サイト「グーグル」の検索結果から、自身の逮捕に関する記事の削除を男性が求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁(小林久起(ひさき)裁判長)が「犯罪の性質にもよるが、ある程度の期間の経過後は、過去の犯罪を社会から『忘れられる権利』がある」と判断し、削除を認める決定を出していたことが分かった。

ということです。

 

判断したのは、さいたま地裁で、仮処分決定の日は、平成27年12月22日。

報道されるまで時間がかかった理由は定かではありませんが、保全事件の手続は非公開ですので、当事者が発表しない限り知る由はありません。

本案がさいたま地裁に係属しているということですから、そこから報道機関が知るところとなり、代理人を通じて情報提供を受けたのかも知れません。

 

決定文が公開されているわけではありませんが、報道によれば、問題となったは、男性の児童買春・ポルノ禁止法違反での逮捕歴。

犯罪歴の削除は、逮捕直後は認められないとしても、どの程度経過すれば削除しうるのかというのも一つの論点でした。

この点については、公訴時効期間が経過すれば、削除請求が認められるという意見もありました。

(公訴時効とは、犯罪後一定期間が経過することにより刑事訴追が許されなくなる制度です。)

今回の事件は、逮捕から3年を経過していたとのこと、逮捕の被疑事実の具体的な適用条文までは明らかになっていませんが、主な児童買春・ポルノ禁止法違反の時効期間は3年から5年ですので、逮捕時(報道時)から時効期間が経過したというのがひとつの目安になったのかもしれません。

ただ、決定文は公開されていませんし、報道でも裁判官がそのような判示をしたとは記載されていませんので、推測に過ぎません。

具体的にどの程度の期間が経過すれば、削除しうるかは、事案の集積を待つしかなさそうです。

歴史的に価値があったり、公人の犯罪歴であったりする場合は、そもそも削除を認めて良いのか、認めるとしても公訴時効期間を基準として良いのか、検討すべきことは多々ありますので、公訴時効期間は別の要素の検討が必要でしょう。

単に犯罪の時効期間が経過すれば、忘れられる権利によって、削除請求が認められるということになるとは思えません。

いずれにせよ、一般人が法定刑の長期5年以下の犯罪を犯した場合に参考になりますし、忘れられる権利を認めた点で意義がある決定です。

(なお、公訴時効期間が3年となる主な犯罪は、名誉毀損、暴行罪等があります。)

今後の本案判決から目が離せません。

適用条文 児童買春・ポルノ禁止法の法定刑 時効期間

刑訴法250条2項

児童買春

(同法4条)

5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金 5年
児童ポルノ所持

(同条7条1項)

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 3年
児童ポルノ提供

(同7条2項)

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 3年

 

※ 削除請求について参考になるページはこちら。

 

 

Photo by midorisyu

 

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